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2012年1月3日火曜日

戦争開戦前に、徹底的に現状分析がなされたが・・・幻の報告書

題 : 戦争開戦前に、徹底的に現状分析がなされたが
                    ・・・幻の報告書
☆《 戦争開戦前に
 ・・現状を詳細に分析した報告書が存在した
 ・・しかし、現状認識を封印し、戦争は始められた
 ・・その結果は悲惨そのものだった・・・ 》:

 70年前の日米開戦前に、
 日本の国力を正確に予測しながら、
 葬り去られた幻の報告書が存在した。

 1939年9月、
 関東軍参謀部で、満州国の建設主任から急きょ帰国した陸軍
中佐の秋丸次朗は、
 「戦争経済研究班」を取り仕切って、
 その報告書を作成した。
 同班は「秋丸機関」と通称され知られた。
 秋丸は、英米との戦争に耐えられるかどうかの分析を命じら
れ、
 東大教授の有沢広巳、
 後に一橋大学学長になる中山伊知郎らの学者を集め、
 徹底的に調べた。
 20~30人の研究チームだった。
 調査対象は、人口・資源・海運・産業など広い分野に及んだ。
 資料収集に苦労を重ねた。
 経済封鎖の日本。
 軍需産業育成にどれだけ力を注げるのか。
 英米との力の差は・・。
 分析が進んで行った。

 調査開始から1年半後の1941年半ば、
 12月8日の日米開戦まであと数カ月の時期に、
 陸軍首脳らに対する報告会が催された。

 秋丸は意を決して言った。
 「日本の経済力を1とすると、
 英米は合わせて20。
 日本は2年間は蓄えを取り崩して戦えるが、
 それ以降は経済力は下降線をたどり、
 逆に、英米は上昇し始める。
 彼らとの戦力格差は大きく、
 持久戦には耐えがたい」。
 これが秋丸機関の結論だった。

 列席したのは杉山元参謀総長ら陸軍の首脳約30人。
 じっと耳を傾けていた杉山がようやく口を開いた。
 「報告書はほぼ完壁で、非難すべき点はない」と報告書の
分析に敬意を示し、
 そして続けた
 「その結論は国策に反する。
  報告書の謄写本はすべて燃やせ」。

 会議から帰って秋丸は、報告書を焼却した。
 有沢は直ちに活動から手を引くように命じられた。
 秋丸機関は、ほどなく解散し、
 現状認識を封印した戦争が始まった。
 結果は、悲惨そのものであった。

 報告書の一部が秋丸の死後、
 遺品の中から発見された。
 詳細を極めた報告書であった。
               (参考:日経2011・1・3)

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